重度の虫歯もご相談ください
根管治療とは、虫歯菌が歯の神経まで達した虫歯の治療のことです。この段階まで進行すると、ケースによっては抜歯となることもありますが、根管治療を行うことで歯を残す可能性を高めることができます。
歯科医院選びのポイント
根管治療は、高い治療技術がなければ再発するリスクがあります。そのため、歯科医院選びが非常に重要です。こちらでは、根管治療を受ける際に確認していただきたい4つのポイントをご紹介します。
ポイント1 診療方針を聞いて納得できましたか?
根管治療に限らず、歯科治療にはさまざまな治療方法や選択肢があります。そして歯科医師はそれぞれの医療方針に基づいて、治療方法を選択して提案します。歯科治療を行う際には治療方針を理解し、納得したうえで治療を受けることが大切です。Webサイトをチェックしたり、カウンセリングを受けて歯科医師と話したりしながら治療方針を確認しましょう。
ポイント2 検査でCTを使っていますか?
根管内は非常に複雑なため、治療前には正確なデータが必要です。歯科用CTであれば、歯の内側にある血管や神経の位置なども正確に診断できるので、より高精度な検査が可能です。そこで判断基準のひとつとして、「CTを使っているか」を目安にしましょう。
ポイント3 マイクロスコープやラバーダムを使っていますか?
根管治療では、いかに根管内から虫歯菌に冒された歯髄組織や歯質を取り除けるか、細菌を残さないかによって再発のリスクが変わります。そのためには設備が欠かせません。そこでラバーダム防湿やマイクロスコープなどを導入しているか確認しましょう。また、当院では精度を高めるために数種類のニッケルチタンファイルなどを導入し、症例に合わせて使い分けています。
ポイント4 被せ物の精度は大丈夫ですか?
根管治療で細菌を完全に除去できても、最終的に取り付ける冠(クラウン)の精度が悪ければ、隙間から細菌が侵入して再発する可能性があります。咬み合わせはもちろん、被せ物自体の精度や接着の方法までこだわっている歯科医院なら安心です。
根管治療の処置について
歯の内部(根管)から汚染された歯質や歯髄(血管や神経)を取り除き、内部を消毒して密封します。
根管治療の流れ
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1感染根管処置
まずは、死んでしまった歯髄組織と細菌に汚染された歯質を丁寧に取り除きます。ファイルと呼ばれる器具を使って、取り残しのないよう清掃します。当院ではほぼすべての症例において、ニッケルチタンファイルを使用しています。
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2根管充填
根管内部から汚染物質を取り除いた後は、内部の空洞へ、「根管充填材(こんかんじゅうてんざい)」を詰めます。隙間なく、緊密に、根尖(根っこの先)までしっかりと充填します。
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3支台築造
大きく削った歯冠(歯ぐきから出ている歯質)を補うためには、人工の冠(クラウン)をかぶせます。しかし、このままでは強度が弱いため、支台(土台・コア・芯)を立てる処置を行います。これが支台築造(しだいちくぞう)です。
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4歯冠形成・合着
支台築造の後は、冠(クラウン)を被せるために、歯質と築造体を削って、形を整えます。歯冠形成(しかんけいせい)を行った後は、歯型を採って、歯科技工所へ冠の製作を依頼します。
完成した冠(クラウン)を、特殊な接着剤(歯科用セメント)で支台に取り付けます。最終的に、装着後の咬み合わせの微調整を行いながら、お口全体のバランスを整えて完了です。
当院の根管治療の特徴
- 歯科医院に通っているが再治療を繰り返している
- 被せ物に違和感がある、かみ合わせが合っていない気がする
- 虫歯の治療が終わったはずなのにまだ痛い・うずく
当院の院長は、大阪大学の保存科出身であり、歯を残すための治療である根管治療の技術には自信があります。他院からの根管治療の受け入れや、セカンドオピニオンもお受けしていますので、上記に当てはまるような方は一度当院へご相談ください。
より精度の高い根管治療のために
ラバーダム防湿
ラバーダムとは、虫歯治療に使うゴム・シリコンでできたシートです。治療する歯以外をラバーダムで覆い、歯を削る際に飛び散る唾液や歯の削りかすをガードします。歯科が進んでいる欧米諸国では当たり前の処置ですが、日本では報酬点数が低いことからあまり行われていません。
ニッケルチタンファイル
根管治療の際には、根管内の汚染した神経や血管を除去するのですが、根管は細くて複雑な形状をしており、完全に行うのが困難です。そこで、当院ではこの除去を精度を高めて再治療を繰り返さないために、数種類のニッケルチタンファイルを導入しており、症例により使い分けています。これは従来のファイルと違い、しなやかさを持つニッケルチタンでできており、今まで難しかった完全な除去を高い精度で行えます。日本では取り扱いがほとんどない、最先端のSAFファイルも取り扱っております。
マイクロスコープ
不快な治療のやり直しや虫歯の再発生の確率を著しく減らす目的で、ドイツ・カールツァイス財団の誇る最高グレードのマイクロスコープ(歯科用手術顕微鏡)を使用しています。
マイクロスコープは、最大20倍までに拡大することができ、肉眼では確認できない根管内部など精密に確認することができ、今までより治療の精度を格段に向上させます。
細部まで見えることにより、目視の治療でおこりがちだった虫歯の削り残しや隣接歯を誤って傷つけることなどが激減します。この「見える歯科」は、歯科医療界に革命を起こすと期待されています。歯科医療に限らず、形成外科・眼科・脳外科・神経血管外科など医科の分野でも導入されています。
カールツァイス社製のマイクロスコープを導入し、
精密な歯科治療を行っています。
- 照明機能で、歯の内部がはっきり見える(まっすぐな歯の根は先まで見えます)
- 肉眼では見過ごすような根のヒビや未治療部分を発見しやすい
- 暗く狭い部位の虫歯や歯石の取り残しが少ない
- 治療がより正確にできるため、治療後のトラブルや再発防止につながる
- 画像や映像を撮影可能
歯科用CT
マイクロスコープと併用してCT撮影の3次元画像による診断を行い、歯の構造を3次元的に把握することで普通のレントゲンでは見つからなかった部位も発見可能になり、より精度の高い根管治療が可能になります。
根の細かい枝、膿胞、破折など、今までに数多くの痛みの原因を発見しております。
ドクターより一言
根管治療は根に深く進行した虫歯を取り除く際に、精度の高い治療技術が必要となります。私は現在、大阪大学の特任研究員として現役で研究を行っております。歯の保存の研究のためラット(ネズミ)の歯で根管治療を行っており、当院ではその技術を活かして精度の高い根管治療が可能です。
ラットの歯とヒトの歯の比較 |
また、マイクロスコープやニッケルチタンファイル、CTといった機材を使用することで、必要な部分のみを正確に取り除き、治療後のトラブルを起こさないよう、より確実で安全な治療をご提供いたします。
薬剤の充填について
根管治療によって汚染物質を取り除いた後、根管内に薬剤を充填しますが、隙間があると細菌が増殖し、炎症を起こして再発する危険性があります。そこで薬剤を根尖(歯の根っこの先)まで丁寧に充填することが重要です。当院では、薬剤を隙間なく充填するために「垂直加圧充填」と「側方加圧充填」という2種類の 方法を使い分け、確実な処置を心がけています。
垂直加圧充填 | 側方加圧充填 |
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垂直圧を利用して、薬剤を根管の先端まで 充填する方法です。 | 測定した根管の長さに合わせて細長い薬剤を入れ、 専用器具を使って側方圧を利用して圧着する方法です。 |
根管治療後こそメインテナンスを
根管治療によって虫歯菌に冒された神経を除去することで、虫歯の症状は改善できますが、ケアを怠ると症状が悪化することも。また、神経がないため栄養が行き届かなくなってもろくなったり、痛みを感じないため再発に気がつかなかったりするケースもあります。治療後のお口の健康を保つためにもメインテナンスは必要不可欠です。毎日の適切な歯磨き、歯科医院での定期検診などのケアを徹底することで、病気の予防に努めましょう。
当院のメインテナンス内容
虫歯・歯周病のチェック
虫歯・歯周病があるかどうかチェックします。定期的に口腔内をチェックすることで、お口のトラブルの早期発見・早期治療を行うことができます。
プロによるクリーニング
セルフケアでは除去することができなかったプラークや歯石を取り除くことで、虫歯や歯周病予防につながります。
咬み合わせのチェック
咬み合わせをチェックし、咬合圧のバランスが取れているかを調べます。咬み合わせが乱れると、歯の破損や顔の歪みの原因となる場合があるので、定期検診でメインテナンスを行いましょう。
定期的なレントゲン撮影
定期的にレントゲンやCT撮影を行うことで、根管や歯槽骨などの視診では確認できない部分の状態も確認することができます。
実は遅れている日本の根管治療
根管治療とは、虫歯菌によって侵された根管内の神経や血管を除去する治療方法です。根管内は、複雑な形状をしていて、それらを隅々まで取り除くには歯科医師の豊富な経験と技術が必要です。
日本における根管治療は、保険治療となっているので治療費も安く抑えることができます。しかし、高度な治療内容でありながら保険点数は低く設定されているため、歯科医院によっては治療に力を入れていないことも。歯の寿命を考えるうえで大切な根管治療ですが、日本における保険制度の関係上、軽視されている現状もあります。
保険治療と自費治療の違い
保険治療とは、国の法律で定められている素材や材料で行なう治療です。保険治療は、自費治療に比べ、治療費を抑えられるものの、保険治療範囲で使用できる素材や薬剤などが限られています。そのため、一人ひとりの症状に最適な治療を提供することができない場合があります。しかし、自費治療なら費用は保険治療よりも高くなりますが、患者様の症状やご要望に応じたさまざまな治療を提供することがきます。
確実な根管治療を受けるために大切なこと
日本の根管治療は、歯科先進国の欧米に比べて技術や治療設備において後れているといわれています。しかし、日本における根管治療でもごく少数ではありますが、欧米レベルの精度の高い治療を受けることができます。例えば、マイクロスコープを導入している歯科医院であれば、より精密な治療を受けることが可能です。「治療内容はどこも一緒……」などと諦めないで、安全で確かな医療を提供する歯科医院を探し、治療を受けることが大切です。