こんにちは、勤務医の鍵岡です。
「歯の根の掃除が終わったので、根の中に新しい材料を詰めます」
歯科医院で根の治療を受けたあとに、このような説明を受けられた方は多いのではないでしょうか。治療が一段落し、患者さんとしてもホッとする瞬間かと思います。ところで、この根の中に詰める材料、何でできているかご存知でしょうか。この材料は、
「ガッタパーチャ」あるいは「グッタペルカ」
と呼ばれます。
この名前でピンとくる方は少ないかと思いますが、これはゴムの一種なのです。輪ゴムなど一般的によく使われるゴムは、パラゴムの木からとれる「天然ゴム」です。歯科治療では、歯科医師や歯科衛生士が使用するグローブに使用されています。一方ガッタパーチャはそれとは違い、アカテツ科の木からとれるより弾力の小さいゴムで、馴染みのあるところではゴルフボールの中身に使われたりしています。このガッタパーチャですが、50℃以上の温度で柔らかくなるので、根の中に詰めるときは、スティック状のものを何本か差し込んで、はみ出た部分を高温の器具で焼き切ったり、あるいは予め温めて柔らかくしたものを根っこの中に流し込んだりして使います。
また、歯の治療に使用された歴史は古く、1867年に使われ始めて以来、絶えることなく使われ続けており、未だこれにとってかわる材料は登場していません。古くても良いものは廃れない、その良い例ですね。